石原新党結成へ。総選挙はいつか。

石原新党、ついに結成ということになりました。

http://www.asahi.com/politics/update/1025/TKY201210250235.html

石原都知事が辞職表明 新党結成、衆院選立候補の意向
 東京都の石原慎太郎知事(80)は25日、都庁で緊急記者会見を開き、都知事を辞職すると表明した。近く新党を結成し、新党代表として次期衆院選比例区から立候補する意向も示した。会見後、都議会議長に辞表を提出した。

 石原知事は「今日をもって都知事を辞職する。国会に復帰しようと思っている。新党を立ち上げて仲間とやっていく」と述べた。「最後のご奉公。硬直した中央官僚の支配制度を変えないとダメ。役人と戦っていかないと、この国は沈んで窒息して死ぬ」と語り、憲法改正への意欲のほか、尖閣諸島に船の避難場所が必要との見解を示した。

 新党は、石原知事が「応援団長」を務めるたちあがれ日本を母体とし、保守勢力の再結集を目指す。たちあがれ日本平沼赳夫代表は25日、「解党して、新しい政党を作る」と述べ、来月上旬をめどに所属国会議員5人全員が新党に参加する考えを示した。

タイミングを考察すると、実はこのブログで、自民党総裁選が始まった時、伸晃のところにこんなことを書いていました。

http://d.hatena.ne.jp/j-crisis/20120906/1347080767

むしろ親父の慎太郎に国政復帰してもらいたいけどねw尖閣が予期せぬ形で持って行かれたのは残念だが、逆に国政復帰の環境は整ったんじゃないの。

もちろん、息子の総裁選落選もあったと思いますが、それと尖閣の国有化に加えてやはり政治不信もあったと思います。

野田が年内解散をかたくなに明言しない、自民党は駄々をこねるだけ、国会も開かれない、復興予算が流用されている、違憲選挙の放置。おそらくこの10年来もっとも不毛な政局であり、もっとも政治が信頼されていないタイミングを狙ったのではないかとも思います。

批判と言えば、都政放り出しというのが主であるが、14年も知事をさせといて「それしか言えないのw」という感じ。毎回、安定当選してきたでしょう。

維新の会は、本当に日和見主義で、小泉以上のポピュリスト集団で1週間ごとに言う事が変わり、信用できないと思っていたけど、やっと落ち着いてきましたかね。みんなの党を見捨てたと思ったら、橋本人気に陰りが見えると戻ってきましたし。橋下はそろそろ浮かれていられないくなっている。渡辺善美や江田憲司の方が経験があり、重みもある。石原慎太郎に至ってはいわずもがな。安倍にお墨付きを得たと思ったら自民党総裁(即ち首相候補)になってしまったことに関しては、どうなんだろう。憲法改正や教育問題では協力するんでしょうかね。

石原出馬で、橋下自身が国政挑戦する可能性はやや低くなった感があります。


第三極の「相違点」が強調されているが、消費税や原発の是非というのは自民党内だって民主党内だって当然それぞれ違いはあるでしょう。そもそも手続きを経て一度決まった方針には、自分の考えと違っていても仲間を信じて方針に従うというのが、秩序ある政党のあり方であって、党内論議というのはそういうことでしょう。手続きの取り決めもなく、○○代行とか都合のいいポストをつくりまくって、ついには分裂してしまったのが民主党の失敗であり、ふつうはこうはならない。政界再編や憲法改正という大きな目標を目指す第3極が集まろうという時に、あれが違うこれが違うと重箱の隅をつつくようなことを言うのは非常に稚拙。票を割るなんて言うのは論外かと。

民主党の議員が、「あいつらはまとまらない」とか「都政を放り出すな」と言っているのを聞いていると、お前らがその口で言うか、この無責任集団め、という言葉しか出てきませんね。

みんなの党は最初、石原新党を迷惑がっていた感があるが、連携に向けてやや軌道修正したような印象を受けます。おとといの最後の定例記者会見から昨日の夜までの間に、石原慎太郎から渡辺善美になんらかの話があったのではないかと。渡辺善美ももう60歳。前回の得票を武器に維新よりやや優位な立場にあるとも言える。この辺で政界再編のキーマンになっておかないと二度と与党や大臣のいすが回ってこない可能性がありますからね。まさに小異を捨てて大同に付く。
渡辺善美はブレないのは大いに結構だけど、2大政党合意で既に決まってしまった消費税は残念ながらもはや次の選挙の争点にはなりえないという現実を見るべきだと思う。もう何が争点になっても自民党の比較第1党というのは揺るがないでしょう。

保守政党、という観点からみると、安倍総裁がいるのに石原慎太郎が新党をつくるというのはやや意外でした。以前、自民はあくまで単独過半数を目指せ、と書いたが、第3極連合を前にそれは厳しくなったと思われる。
維新の会の松井幹事長、みんなの党の渡辺代表(と江田幹事長)、それから石原慎太郎、いずれも元自民党なんだよね。維新の会が300人擁立とかはったりをかましていたが、それも修正するだろうし、外圧によって国防意識が高まりを帯びてくる中で、自民党+第3極連合で憲法改正をしたいというのが石原慎太郎の本音のような気もする。最後のご奉公の意味は当人のみぞ知っているのだが。

最後に、選挙制度を少し検討する。
日本は小選挙区制を導入するのはあまりに遅すぎたね。
政治混乱の主因が経済の悪化であっても、冷戦が終わって20年たち、新興国が台頭し、価値観が多様化する中で、世界的に2大政党制が行き詰まりを見せているときに、やっと日本は2大政党制にこぎつけた。

小選挙区という選挙制度は、中政党をつくるのが非常に難しい。大政党と小政党のみになってしまうと、政界再編というのは起こりにくい。小沢が離党してもなお、民主党と生活が第一の大敗がほぼ確実視される中で、まさに「近いうち解散・総選挙」が、政界再編によって決められない政治から脱却する、(もしかしたら最後)かつ最大のチャンスである。おそらく自民党が比較第1党になるだろうが、次期政権が次の課題に取り組めるかにかかっていると思う。そのためにはマスコミの官僚依存決別と、長期政権を可能にする実績と強固な支持基盤も必要だよね。

総理の座の軽さがよく指摘されているが、沖縄問題や政治とカネひとつで政権が転覆したりするのはやっぱりおかしいと思う。長期政権を前提として、安定するまで政策課題におけるある種のパンドラの箱を開けないやり方というのも現実的には必要かな、と思います。本来官僚も大臣も政府内の人間であって、仕事のパートナーであるのだから、与党になったら今のように敵対路線だけでいけるわけがない。民主党にはなかった分別を、次の政権に期待したいと思う。

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以下、余談。

小沢一郎という人を見るときに、やっぱり去年6月の菅内閣不信任案への対応が最後のチャンスだったんだなぁとつくづく思いますね。あそこで寝返っていればこんな状況にはならなかった。

支持率調査の維新の会の数字は(比例はともかく)あんまり信用できないと思います。特に議席数との相関関係においては。首都圏だけの調査(例えばフジテレビ「新報道2001」の首都圏500人対象の毎週の世論調査)や全国調査だと、関西圏の高支持率があまり反映されない。衆院選というのは300人が、選挙区ごとの票数によって決まるわけだから。
例えば今週の新報道2001(首都圏対象500人)の支持率を見ると、単純計算はできないにしても、維新+みんなで7.2%ある。民主党8.2%、公明党3.8%というのを考えると、仮に選挙協力をして(対立候補を立てず)、街宣車の上で渡辺善美と橋本徹(と石原慎太郎)ががっちり握手したら結構な影響力があるでしょう。

それから、もっと当たり前だけど、選挙に行かない人はいくら支持政党を答えたって無意味。宗教関連の政党が、投票率が低いほど有利なのは、確実な基礎票がみんな選挙にいくからでしょ。まあ、つまるところ、老若男女、行かにゃ損損、という話です。オバマ期日前投票した映像が面白かったけど、せっかくなんだから日本でもみんな活用したほうがいいと思うよ。待ち時間短いし。

野田内閣不支持75%年内解散64%というのを見ると、多くはもうしびれをきらしてるよね。野田じゃ選挙は戦えないとか、先送りとか、第3極はまとまらないとか言ってる民主党員は、恥を知れよw 目標の喪失と人材の枯渇は誰の目にも明らか。来年のダブル選でさよならというのも悪くないけど、その間レームダック国益が失われるのがあまりに惜しい。党首を変えようが先延ばししようがもはや大敗には変わりないんだから。

新報道2001世論調査
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shin2001/chousa/index.html
25日調査だから、石原新党に対する期待についてはやや割り引いて考える必要があるかもね。

公約については興味があります。特に維新の会。八策は、とりあえず国民受けする過激なものを並べた、という感じですが、政治主導で官僚依存脱却と言いながら、参院廃止&衆院定数半減という矛盾する要素もありますし。
個人的には参院廃止には反対ですね。なんだかんだ言っても結局暴走する恐れがある。前回、なんとなく風に流されて鳩山を選んで大失敗したのを見ていると、参院のブレーキがなかったら大変なことになると思う。特に経済政策において市場のスピードに国会がまったくついていっていないというのは全くその通りだが、もうこれは世界共通の課題であって、独裁政権だって頭を悩ませているところでしょ。それに加えて日本は、中央銀行が主導権を握らない硬直した官僚主義だからもうダメダメだよね。

短期的にはどうするのか。もう実現不可能な嘘八百を並べるマニフェストは許されませんからねw 

でも今のような公約集しかだせないのならマニフェスト選挙やめたら?とも思うけどね。自民党マニフェストって、政権公約というより、圧力団体要望詰め合わせって感じじゃないかw 細かいところまでちまちまと。基本的にある程度の方向性とか目玉政策をいくつか示す、というのでいいんじゃないかな。民主党の2009年衆院選マニフェストは小沢さんが作った自民党否定が主だったし。八ッ場ダム辺野古移設、高速道路無料化、ガソリン税(の暫定税率)の否定がその典型でしょう。のちの迷走が計画性のなさを如実に表している
それから首相交代したら選挙をするというのもルール化したほうがいいと思う。