オスプレイ、沖縄配備。

2012/10/02 朝日新聞[天声人語]
http://www.asahi.com/paper/column20121002.html

 各地の水辺で旅鳥(たびどり)が観(み)られる季節である。北国で繁殖し、日本を経て越冬地に南下する渡り鳥で、チドリやシギの仲間が多い。国内でひと夏、ひと冬越す鳥たちに比べ、どこかお客さんのよそよそしさがある▼陸揚げされた岩国基地から、沖縄の普天間飛行場へ。しばし休んで飛び去る旅鳥のように、米海兵隊の輸送機オスプレイが渡り始めた。台風をやり過ごし、いよいよの「実戦配備」である▼住宅地にあり、世界で最も危険とされる基地に、墜落が続く新型機がたむろする。日本を守る約束には「沖縄を捨て石に」のただし書きが付いているかのよう。「頭に落ちてくる可能性があるものを、誰が分かりましたと言えますか」。県知事の怒りは当然だ▼軍用機に求められるのは、様々な「強さ」だろう。下界の平穏は、乗り心地や騒音と同じく二の次、三の次だ。日米両政府の安全宣言ひとつで、「安心」になるわけではない▼オスプレイの沖縄投入の背景には、中国の軍拡という要素もあるやに聞く。尖閣諸島をめぐる緊張と、かの国のあけすけな圧力は、安全性に対する心のハードルを引き下げた感がある。少し危なっかしくてもという「甘え」が、本土の国民になかろうか▼すぐ西には尖閣の島々、台湾海峡、中国本土。きな臭い東シナ海に、同じ臭いの渡り鳥が飛来し、有事の空気はさらに濃い。これを吸わされるのも沖縄の民だ。安保の負担に加え、外交のツケまで回され、日本という国に愛想が尽きても不思議はない。


・きな臭い東シナ海に、同じ臭いの渡り鳥が飛来し、有事の空気はさらに濃い。これを吸わされるのも沖縄の民だ。
オスプレイ=きな臭い渡り鳥=新型機 が沖縄にたむろ・・・酷い言われ様である。「中国によってもたらされる有事の空気」と「オスプレイのきな臭さ」を比較する愚。共産党にはきな臭さなどほとんどないと信じているならこれも仕方あるまい。非武装中立論者の生き残りがたむろしているほうが余程きな臭い。凧揚げを始めるとはなかなかのユーモアを感じさせる、凧で米軍に対抗できるのなら人民解放軍など朝飯前だろう。

・外交のツケ
そもそも普天間基地の移設はすでに内政問題であって、日本政府による地方自治体の説得はアメリカ政府の関与するところではない。

・下界の平穏は、乗り心地や騒音と同じく二の次、三の次だ。
下界の平穏のために来てくれたのである。まさに因果が逆転している。
平和はタダではない。日米防衛当局の不断の努力によってこの平和がもたらされているのである。下界の平穏を保つにあたって比較すべきは、「地上戦の悲劇」と「騒音」である。
この思考回路がゆえに、某地方紙からトモダチ作戦は沖縄をダシに使っているなどという荒唐無稽な論説が出てくるのだろう。

オスプレイに反対する人々を見るに、日本の集団的自衛権に反発する韓国のよう。成田闘争で管制塔や京成電車を破壊したときから何も変わっていない。

ところで同日紙面の
〈経済気象台〉中国リスクへの対応
という社外筆者によるコラムは日本企業は東南アジアへ向かえ、とごく真っ当のことが書いてある。社内筆者は中国から出て行こうなどとは公には書けないのだろうか。