朝日新聞『見せかけの謝罪』(1) 本質隠しは変わらない

朝日新聞記者行動基準(抜粋)

公正な報道

1.正確さを何より優先する。捏造や歪曲、事実に基づかない記事は、報道の信頼をもっとも損なう。原稿はもちろん、取材メモなど報道にかかわる一切の記録・報告に、虚偽や捏造、誇張があってはならない。写真でも、捏造や捏造につながる恐れがある「やらせ」は、あってはならない。

2.筆者が自分であれ他の記者であれ、記事に誤りがあることに気づいたときは、速やかに是正の措置をとる。

http://www.asahi.com/shimbun/company/platform/kisha.html

朝日新聞社木村伊量社長らが記者会見し、福島第一原子力発電所事故の政府事故調査委員会が作成した吉田昌郎所長(当時)の聞き取り記録(いわゆる吉田調書)について、朝日新聞の報道に誤りがあったと認め、東京電力と読者に謝罪した。
また、慰安婦問題に関する自社の報道の誤りを認めた8月6日、7日付朝刊の検証記事に、反省するとしながらも謝罪がなかったことについて、誤った報道と謝罪の遅れについて謝罪した。なお杉浦信之・編集担当(朝日新聞社取締役)は、8月6日、7日の検証記事については「自信を持っている」とした。
また、木村社長は、朝日新聞幹部を批判する内容の池上彰氏執筆のコラムの掲載を一時見合わせたことについて、杉浦信之・編集担当の誤った判断だったとした。同コラムは、9月4日付朝刊に、池上氏と読者に詫びる記事と共に掲載されている。

今回の一連の不祥事の時系列
8月05日 慰安婦問題の誤報・誤用訂正(翌06日まで)
     「慰安婦問題の本質 直視を」との論説掲載
8月25日 慰安婦問題の本質は変わらないとする記事を改めて掲載
8月29日 池上彰氏コラム掲載見合わせ
9月04日 同コラムを遅れて掲載、謝罪
9月11日 (政府、吉田調書など公開)
     朝日新聞が記者会見を開き、
     吉田調書報道の誤り認め謝罪
     慰安婦報道の誤りについて初めて謝罪
     池上彰氏コラム見合わせの判断は杉浦信之・編集担当(朝日新聞社取締役)と説明
9月12日 社長の謝罪掲載
9月13日 「論じることの原点を心に刻んで」との社説掲載

朝日新聞には確認すべきこと、正直に答えるべきことがいくつもある。
既に紙面や記者会見で答えているものもあるが、承服し難いことだらけだ。

・訂正記事掲載、記者会見までの期間と時期・日付・時刻について
誤報と主張を撤回していない内容について
誤報と自紙の論説の関係
・週刊誌の広告拒否・黒塗り問題
慰安婦誤報で記者会見しなかった理由
報道ステーション慰安婦誤報特集と記者会見を同日にしたこと
・不祥事の後処理と誤報経緯報告の方法について

これらについて細かい疑問、疑惑が山ほどある。
今回、第三者機関設置とともに、自社で検証を行うと明言した。
朝日新聞はこれまで調査報道で成果を上げ、主張を展開してきた。

集団的自衛権行使容認を戦前の反省を活かしていない暴挙であり、憲法違反と断じた。
福島第一原発事故後、被害者に寄り添い、東京電力を厳しく非難した。
電力会社を既に退職した人に粘り強く取材し、献金の実態を明らかにし、その体質を非難した。
事故当時の東電テレビ会議の映像全面公開や、検察の証拠改竄事件後は取り調べの全面可視化を求めてきた。
黒塗りだらけの社説で、特定秘密保護法反対をアピールした。

今度はその姿勢は自社に向けられなければならない。

32年間慰安婦誤報を放置する、十分な裏付けのないまま原発から逃げ出したと報道する。これらはサンゴ事件の反省を活かしていない読者や国民への暴挙であり、朝日新聞社綱領・記者行動基準違反である。
被害者(読者や日本、国民)に対して、正直に事実を明らかにし、納得できる十分な説明をせよ。
調査対象は、綱領・記者行動基準違反が疑われる、慰安婦誤報以来32年間の歴代社長、役員、主筆、論説主幹、論説委員編集委員などの幹部、慰安婦問題と吉田調書に関する取材、記事に一度でも関わったすべての社員、元社員、取材相手である。
誤報の調査対象とのやり取りを全て録音・録画の上公表し、誤報が放置された実態を明らかせよ。
当然、その映像や音声、報告書への黒塗り等は許されない。


9月13日付朝刊社説で、「論じ続ける責務」などと語っているが、今の朝日新聞に他人の問題を論じる資格などないと考える。他人のことを論じる前に、まずやるべきことがあるのではないか。
それは自らの誤報、誤用やその影響によって広まった嘘を、世界中を回って打ち消すことだ。朝日新聞が持つ世の中への影響力は、すべて嘘の打ち消しに投じられなければならない。

それは例えば慰安婦問題については、慰安婦と挺身隊の誤用、吉田清治証言の誤報に基づく、
・韓国の「挺身隊問題対策協議会」に名称変更をさせる。
・「数十万人の14歳以上の女性を軍や官憲が奴隷として強制連行した」等の韓国政府文書、国連報告書、影響を受けた河野談話などの記述、韓国、アメリカなどの慰安婦関連の像や碑について削除・撤去させる。
・軍や官憲による強制連行の証拠は見つかっていないということ、慰安婦における朝鮮人の割合、業者における朝鮮人の割合と実態、その他の事実、史実を繰り返し世界に発信する。
・これらの作業をする際、当然ながら元慰安婦と名乗る女性の一部の学問的価値のない証言に基づいたり、偏ったりしてはならない。
などだろう。

朝日新聞は、世界で慰安婦問題、吉田調書の事実、史実が認識され、それが関わったすべての他国の国民の合意になったあとに、他の問題を論じればいい。事実の前に謙虚でなく、死者をも冒涜する記事を書いてきた会社に他に何が出来よう。

さらに、記者会見の日(9月11日)の報道ステーションの特集は、誤報の及ぼした影響を過小評価しようとしている。河野談話作成や国連報告書の結論に、吉田虚偽証言は影響を与えていないという特集を報ステでやっている暇があったら、上記のような活動をあらゆる媒体を通じてすべきだ。

※前回記事を一部修正しました。