選挙-どのように選択するか

党首討論の「勢い」で解散を待ちわびていた国民感情につけ入り、支持率が数%上がったことに気をよくした野田首相は、最近テレビカメラの前ではだいたい語気荒く、どこからくるのか自信たっぷりな口調を演出しているようだが、100人超が離党し足元から瓦解している民主党にもはや勝利戦略はなく、本音はあきらめて開き直っている心の内が透けて見えて非常に情けない。安住、細野といった幹部の言葉も何か言い訳めいて聞こえてくるだけなのは、与党の癖に一番望まない時期の解散に追い込まれ、争点も作れず、アピールすべき実績もないというこの3年間の惨状に、自他共に「こんなはずじゃなかった・・・」という失望とため息が渦巻いているからであり、しかしそれもまた先日紆余曲折のうえ「幸せな人生だった」との謎のメッセージとともに引退を表明した鳩山という生命体に政権を託した2009年の選択の誤りからきた結果である。
参考 http://kyoko-np.net/2012112201.html


そろそろ橋下市長の主導権を握るための法螺吹きにも飽きてきたころだが、この場に及んでみんなの党対立候補を立て吸収を迫るというけんかの売り方、振る舞いには感心しませんね。自民党時代の小泉純一郎より地盤がなく、橋下本人への世論の支持しか頼りにするところがないこの政党は、当然のごとく支持率の浮き沈みも激しい。太陽の党もといたちあがれ日本との合流で重量感が出てくると期待したものの平沼赳夫という良心的保守派の発言力が相対的に低くなったように思えて、このままいくと現実的な主張の柱がないまま総選挙に突入しそうでやや懸念も感じる。松野頼三の息子、官房副長官も務めた松野頼久元国会議員団代表も合併後とんと露出しなくなったあたり、やはり急ごしらえで役職ばらばら、核となる橋下徹が市長と兼務というのは無理が出てきているような気がしないではない。

そして、今週の世論調査がこれ

http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shin2001/chousa/2008/121125.html

【問1】次の総選挙の比例で投票したい政党はどこですか。
民主党 13.2%(↑) 新党大地・真民主 0.0%(―)
自民党 24.0%(↑) 国民の生活が第一 0.8%(↓)
公明党 3.8%(↓) 日本維新の会 10.2%(↑)
共産党 2.4%(↑) 減税日本 0.2%
社民党 0.0%(―) みどりの風 0.0%(―)
国民新党 0.6%(↑) 無所属・その他 1.6%
新党日本 0.0%(―) 棄権する 1.6%
みんなの党 1.4%(↓) (まだきめていない) 40.2%
新党改革 0.0%(―)

【問2】あなたは野田内閣を支持しますか。
支持する 27.6%
支持しない 66.6%
(その他・わからない) 5.8%

【問3】次期衆議院選挙後の政権は、どういう枠組みが良いと思いますか
民主党単独または民主党中心の政権 10.8%
自民党単独または自民党中心の政権 28.2%
民主党自民党の大連立政権 20.0%
日本維新の会みんなの党などいわゆる「第三極」中心の政権 26.0%
(その他・わからない) 15.0%

【問4】日本のリーダーにふさわしいのは誰だと思いますか。(五十音順)
安倍晋三自民党) 12.0%
石破 茂(自民党) 12.2%
石原慎太郎日本維新の会) 15.0%
岡田克也民主党) 3.0%
小沢一郎国民の生活が第一) 5.0%
野田佳彦民主党) 12.2%
橋下徹日本維新の会) 12.8%
細野豪志民主党) 1.8%
前原誠司民主党) 2.4%
(その他・わからない) 23.6%

【問5】人口減少や高齢化が加速する中、現行の社会保障制度の持続危機が指摘されています。制度改革を行うにあたり、あなたは、今後どの世代の負担を最も増やすべきだと思いますか。
既に引退した高齢者世代 17.6%
現在納税している現役世代 20.6%
これから納税する将来世代 10.2%
全世代均等 42.6%
(その他・わからない) 9.0%

首都圏の成人男女500人を対象に電話調査

首都圏で維新10%越え(前回3.6%)、みんな1.4%というのはやや極端だが、強気になる理由もわからんではない。
しかし、リーダーで石破と安倍が拮抗し、石原慎太郎が一歩出ているというのがすごいね。石原が1位になるとは思わなかった。橋下人気といい、突破力が求められているんですね。自民党の選挙戦術がいまいち見えてこないのはどうしたことかという感じだが、民主党ネガキャンはまだ温存しているのか。

前々回が郵政選挙、前回が政権選択選挙という二項対立で構図が明確だったが、今回は白黒はっきりした争点がなく、政党が乱立しているため政党の本質や運営能力で判断するしかないのかね。経済政策で争っても、説明する時間が短いと、どっちが言いくるめられるかみたいなことになって本質的な議論にはならないし。無論、ばら撒きで政府債務を拡大し、円高を放置した民主党の無策は明らかなんだが。しかしその先の議論が冷静には伝わらないと思われる。

経済というのは良くするor悪くするの対立ではなく、その手段の対立だから大衆に問うテーマとしては不適切なんだろうね。
道義的に過っている選挙前の増税も政治的には致し方ないのか。

http://www.ntv.co.jp/yoron/201211/index.html
(抜粋)

あなたが、衆議院選挙で、投票を判断する上で、もっとも重視する政策はなんですか?(複数回答)
景気・雇用対策 50.6%
年金や医療・介護 47.7%
財政再建 21.2%
外交・安全保障 19.4%
子育て・教育問題 16.4%
憲法改正 7.0%
地方分権 4.5%
自由貿易協定「TPP」 4.2%
原発問題 0.9%
その他 0.5%
わからない、答えない 3.1%

あなたは、12月の衆議院選挙後の内閣総理大臣として、もっともふさわしいのは誰だと思いますか?(自由回答)
安倍晋三自民党) 19.0%
野田佳彦民主党) 13.5%
石原慎太郎日本維新の会) 7.6%
橋下 徹(日本維新の会) 3.7%
石破茂(自民党) 2.7%
小沢一郎国民の生活が第一) 2.0%
山口那津男公明党) 0.5%
渡辺喜美みんなの党) 0.4%
志位和夫日本共産党) 0.3%
舛添要一新党改革) 0.3%
福島瑞穂社会民主党) 0.2%
松野頼久日本維新の会) 0.1%
自見庄三郎国民新党) 0.0%
鈴木宗男新党大地・真民主) 0.0%
その他 2.9%
わからない、答えない 47.1%

原発やTPPについては「争点にしたい」勢力は政治家・マスコミにいるけど、イマイチ争点にはなってない。
何しろ今すぐ決めるというのが非現実的だから。過去2回の選挙があまりに単純な構図に終始したため、争点がわからなくなっているというのが今回か。2大政党制を目指したものの、イデオロギーを超えて問題が多様化する時代に、その立役者が第三極に転じ、十数個もの政党が乱立するという全く皮肉な結果。小選挙区制は、時代との相性、それに日本人との相性が合わない制度だったと早急に認め、一票格差是正とともに本格的な選挙制度改革を目指すべきでは。

普通、選挙というのはこれまでの実績を判断し次の与党を選ぶんだが、アピールする実績が乏しい与党は争点を作れない。すると主導権は野党にあると思うんだが、安倍総裁はまず経済政策から入った。この後、民主党の不始末から外交防衛、教育、憲法改正と論点を移していくのかな。おそらく原発やTPPは争点にしたくないし、ふさわしくないだろうから。

リーダーで1位だった石原慎太郎が次期首相で3位というのは、彼のキャラクターを物語っていて面白い。

世論調査の結果の差の考察ついては朝日と毎日が記事を出している。
http://mainichi.jp/select/news/20121121k0000e040196000c.html
前も書いたが、母集団と回答率も参考に。