福島のがんリスク、明らかな増加見えず WHO予測報告

http://www.asahi.com/national/update/1125/TKY201211240631.html
福島のがんリスク、明らかな増加見えず WHO予測報告
 【大岩ゆり】東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)による住民の健康影響について、世界保健機関(WHO)が報告書をまとめた。がんなどの発生について、全体的には「(統計学的に)有意に増える可能性は低いとみられる」と結論づけた。ただし、福島県の一部地域の乳児では、事故後15年間で甲状腺がん白血病が増える可能性があると予測した。報告書は近く公表される。

 福島第一原発事故による健康影響評価は初めて。100ミリシーベルト以下の低線量被曝の影響には不確かな要素があるため、原爆やチェルノブイリ原発事故などの知見を参考に、大まかな傾向を分析、予測した。

 WHOはまず、福島県内外の住民の事故による被曝線量を、事故当時1歳と10歳、20歳の男女で甲状腺と乳腺、大腸、骨髄について、生涯分と事故後15年間分を推計した。その線量から甲状腺がん乳がん、大腸がんなどの固形がん、白血病になるリスクを生涯と事故後15年間で予測した。

 成人で生涯リスクが最も高かったのは福島県浪江町の20歳男女。甲状腺がんの発生率は被曝がない場合、女性が0.76%、男性は0.21%だが、被曝の影響により、それぞれ0.85%、0.23%へ1割程度増えると予測された。他のがんは1〜3%の増加率だった。

(2012/11/25 朝日新聞より)

今日の朝日新聞の1面トップなんだけど、なによりよかった。見出しだけでも安心した人が多いだろう。
この事故に関しては残念ながら日本の政府機関はあまり信用されていないので、国際機関という箔がつくだけで情報の受け止め方に心情的に差が出る。
しかし、記事の書き方には疑問を感じるね。
子供の方が影響を受けやすいという調査結果を書いた後、最後に重要な前提条件となる以下の文章が。

 今回の健康影響の予測では、過小評価になって健康被害が見逃されることを防ぐため、予測結果が過大になっている可能性もあるという。5月に公表された被曝線量推計を基に予測されたが、この推計は、原発近くの住民は事故後4カ月、現地に住み続けたほか、福島県民は地元産の食品ばかり食べていたなどの想定になっている。

こんな人はほとんどいないでしょう。事故後、適切とはいえないが一応避難措置がとられ、食品も制限されたんだから。
不用意にがん増加率予測を書くべきじゃないと思うんだけどな。一時期の首都直下地震の発生確率みたいに、前提条件を把握しないままデータを読むほど馬鹿なことはない。最も高い確率で、ということでしょう。健康調査なんだから、調査する側は最悪を想定するのは当たり前。それを伝える側が齟齬が生じないように報じないといたずらに不安をあおるだけ。原発事故のあとに、1ミリシーベルト〜20ミリシーベルトで揉めた件もそう。

もう散々既出だけど、この会社は原発関連のニュースやスクープがあると、話題の大小にかかわらず、なんでもかんでも1面トップにしたがるきらいがある。